これがヤングアダルト以上に向けたものなら、☆5つ! おもしろかった!
不思議なおばあさんが出てきて、なんでも魔法で解決しちゃうのはおもしろくないから、魔法のような小物を貸してくれて、子ども自らが解決するような物語を目指したというカバー折り返しでチョイス。
不思議なお話がオムニバスで詰まって、最後には最初のお話へ戻ります。
こういう社会性のある話を、真っ向から、小学生が耐えうるギリギリの線で現実性を持って語った作者に拍手を贈りたいし、けれど本の世界ぐらいは、とも思う。
例えば、お父さんの小言が多くて、死んだお母さんに会いたい子。
という話で、お母さんの意見をサラッと納得させゃうところが、中高学年対象と考えた場合、どうなんだろう。
それは大人の意見だよね。そんなこと書かれなくても子どもはわかってくれている。けれど納得できないから悩むんだよね。その葛藤からファンタジーへ入り込んでしまうんだよね。そこへ添わないと、と思うのですがどうでしょう。
子どもの読者は、どこに自分を落としこむのだろう。小説にいちばん必要な共感ポイントは、どこだろう。
ファンタジーは世界を描くんだよね。そう考えたら、作者の思いが出すぎかなぁ。
最後二話は、自分が助けられなくて引きこもった友達の家を訪ねる話、ほんのり恋の話と、子どももおもしろいんじゃないかな。