1949年のアメリカの作品で、邦訳は何と2002年。
50余年の時を経過した後に邦訳されるとは、実に息の長い作品です。
文・絵のイングリ&エドガー・ドーレア夫妻は、1940年に「リンカーン」でコールデコット賞を受賞しています。
原題は、「Foxie the singing dog」で、ロシアのチューホフの短編「カシタンカ」にヒントを得た作品とのこと。
物語は、主人公のフォクシーが、ご主人を追い駆けて外に出たまでは良かったものの、迷子になってしまうシーンから始まります。
そこで、フォクシーは、太ったおじさんの家で飼われることになるのですが、そのおじさんは、サーカスの出演者。
フォクシーは、その家に住むネコ・オンドリと共に、芸の修得に余念がありません。
デビュー当日、何と、ご主人がサーカスの観客に来ていて、感動の再会となるのですが、それまで親身になって世話してくれたおじさんのことを直ぐ忘れてしまうのは、如何なものですかね?
前のご主人の元では、がりがりのキツネのようだったのに、太ったおじさんのところでは、すっかり毛並みも良くなったというのは、それだけ大切にされた証のはず。
何か、その恩よりも、再会に焦点が当たってしまっているのに、少し違和感を覚えました。
絵は、モノクロとカラーのページが交互になっているクラッシックな手法が取られていますが、決して古さは感じません。
何処かブレーメンの音楽隊を彷彿させるような展開は、親しみを持って読み聞かせ出来る作品だと思います.