書いてある文はいたって単純でした。そして、数を数えることができるようになった子には、すごく楽しい本だと思います。でも、その後ろに隠されている意味が分かるようになると、生きていることの神秘性をひしひしと感じさせる本だと思います。
「いっしょうのあいだに」にという言葉があると、私たち大人は、あ、この生き物は大体何年生きるんだなとすぐにピンときます。そして、生きとし生けるものの定めである死を意識せざる得ません。
でも、カンガルーが一生の間に50匹もの子供を産むこと! 私たち人間に当てはめたら、本当にありえない話で、そんなに年がら年中、妊娠と出産を繰り返してたら大変じゃないのかなと、我が身と置き換えて考えりするよい機会でした。そして、いやぁ、私には無理無理とただ感じます。それだけ人間より寿命の短い生き物たちは、必死にその命を生きているんですね。
訳者の福岡伸一が最後に、生き物の生き方は大きく分けて二つのタイプがあり、とにかく出来るだけたくさん子供をつくるものと、少ない数の子供をつくり、一人前になるまで外敵から守り大切に育てるものがあると書いていました。あまりにその育て方は違うけれども、やはり二種類の生き方があるということは意味のあることなんだなと、しみじみと思いました。
とても身近に自分たち以外の生き物のことを考えることが出来る本で、一生に一度は読んでみたほうがよい本だなと思いました。