ケニアの語源については諸説ありますが、カンバ語の「キーニヤ」(ダチョウの山の意:雪を頂 に被ったこの山は、ダチョウの頭のように見える)からきたというものが有力だそうです。
そのカンバ族の話を伝え聞いて、ヴァーナ・アーダマが文を書き、それにマーシャ・ブラウンが絵を描いた1995年の作品です。
物語は、至極単純。
ダチョウは短い首だったという書き出しで始まります。
首が短いというのは不自由なものとありますが、確かに、地面の虫を取るにも高い木に成る実を取るにも、不自由この上ないことは間違いありません。
そこに登場するのは、虫歯になったワニ。
痛くて仕方ないので、動物達に虫歯をほじって欲しいと懇願するのですが、誰も信用してくれません。
ダチョウは、やはり逃げようとしたものの、可愛そうになって、ワニの口に頭を突っ込んで、歯を一本づつ突付いてあげるのです。
ところが、悲しい性というやつか、ワニは、朝から何も食していないことを思い出し、ダチョウの頭を咥えてしまうのです。
それから、ダチョウとワニの綱引きが始まるのですが、皆さんご想像の通り、そんな訳でダチョウの首は伸びてしまったというお話です。
これって、「ぞうの鼻は何故長い」と全く一緒の展開なので、こうした話というのは、各地に伝承されているのだと思いました。
マーシャ・ブラウンの絵は、かなり荒っぽいものなのですが、それが、この内容に相応しく、良い感じで仕上がっています。
いろんな国の昔話の絵本が、昨今邦訳されるようになりました。
伝承される話には、魅力があるものが多いので、多くの昔話が読めるようになることを期待したいと思っています。