ケビン・ヘンクスと言えば、2005年のコールデコット賞受賞作品「まんまるおつきさまを おいかけて」と、1994年のコールデコット賞オナー賞受賞作品「いつもいっしょ」で知られています。
今回の作品は、1989年の作品で、極初期のもの。
主人公のルーシー・シムスは女の子。
「ルーシー・シムスには
いぬがいません。
ねこもいません。
おにいさんも おねえさんも いません。
でも、ルーシー・シムスには ジェシカが います」
という書き出しで始まります。
どのページでも、ジェシカと一緒ですとあるのですが、ジェシカの姿は見えません。
そう、ジェシカは、ルーシーの空想の女の子。
でも、読み進めるうちに、ジェシカは本当はいるのではないかと思えてくるくらい、ルーシーの立ち振る舞いが自然なのです。
幼稚園に入園してからも、ジェシカがいるように振舞うのですが、ルーシーを見つめる女の子がいるのです。
エンディングでは、何とも言えず優しい気持ちにさせられます。
ストーリー展開が絶妙。
内なるジェシカとの決別が、ルーシーの成長であり、更なるジェシカとの出会いを導いたと思える奥の深い作品だと思います。
一寸おませな女の子にオススメします。