妖怪?のしばてんと間違われた?たろうの話。あとがきに作者の思いが書かれていました。
「子どもたちに影響をあたえる絵本作家として、責任を感じる。この絵本が子ども達の成長過程で、あるいは青年になってからでも、かれらの心の中で発酵して、あの絵本の作者がいおうとしたことは、このことだったのかと心に沈んでくれることです。」
要約するとこんな事を書いていました。
すごいなと思いました。
その本を選んで読み聞かせる私にも、責任、願いはあるのですが。
ただ、初めて話を聞いた息子には、よく分からなかった。
たろうは、その後どうなっちゃったんだろうね?息子にもたろうはしばてんに思えたのでしょう。きっと帰ってくるって。
答はわかりません。ただ、この本は村人がたろうをあるときは、妖怪扱いし、ある時は救世主扱いし、そして都合の悪いところをたろうに押しつけてしまうところに大きな問題があると思うのです。役人には、「しばてんがやった」というのは、たろうとしばてんを同一化してしまている。
それが伝わらないのは残念なのですが、それがこの本の弱点かもしれません。
子どもの心に残って、実はあの話はこういうことを言いたかったんだって、いずれ感じてくれる。それがねらいです。
絵について見れば、田島征三にしては随分と抑えた感じがしました。「くさむら」や「とべバッタ」のような爆発するような絵と正反対なところに、込めた思いがあるのかとも思います。