18世紀のロンドン下町。点灯夫、産婆、葬儀屋、靴屋、質屋、本屋・・・と様々な職業の見習いたちの暮らしを描いた短編集。
12の短編に、12人の主人公と12の職業、1月から12月までの12の月が当てはめられています。9月から始まった短編は、クリスマス、新年、バレンタインデー、エイプリルフールなど季節を追いつつ、次の短編へと続きます。そして、ある主人公がそっと別の話に顔をだしていたりして、話が微妙に繋がり絡まっています。これらの構成がなんとも心憎いばかりです。
貧しい暮らしの中、小さな幸せを糧にして、したたかに、たくましく、懸命に生きている見習いたち。朝早くから夜遅くまできつい仕事に追われる彼らですが、異性に関心を向け恋する場面もありました。それぞれの時代に、与えられた境遇を懸命に生きた人がいて、命も仕事も脈々と、引き継がれていくのだと思いました。