「ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ」で知られるクリス・ウォーメルの2010年の新作。
描かれているのは、陸にまだ生物がいなかった時代のお話。
そこにいた賢いさかなが主人公。
賢いさかなが中心にいて、それを取り巻くさかなたちという構図が何箇所かあるのですが、周りのさかなのが驚嘆している様がとても愉快。
このさかなが賢いということを、上手く表現していると思います。
賢いさかなが、考えたりする様は、程よく擬人化されているのですが、上陸するのに4つの足を作ったというのは、一寸行き過ぎの感がありました。
後年、その話を聞いたさかなが、ヒレを使って上陸して、そのヒレが少しずつ足に変化し爬虫類に変っていったというのは、まぁ絵本だから許せる範疇でしょうか。
この絵本で一番気にいった絵は、さかな、爬虫類、哺乳類、類人猿、人間への変化を一枚で表現しているもの。
この流れを俯瞰できるというのは、イメージが膨らむので実に素晴らしいことだと思います。
生命の進化を絵本で易しく伝えるという企画自体は、とても崇高なもので、賢いさかなを登場させたのも、大ヒット。
足を作ったというところが、別の何か他のものであれば間違いなく五つ星にした作品です。