これは、文字のない絵本です。
カエルはただ、キレイな花を摘んで、眺めていただけなのに。
そこへ、1匹のねずみが現れて、突然その花を奪い取った。
始まりはたったそれだけのことだったのに。
いつの間にか、争いは広がり、激しくなり・・・。
結局、すべてを破壊し、焼き尽くすまで、その戦争は終わらなかった。
なぜ、争いは起こったのか、なぜ、とめられないのか。
なぜ、なぜ、なぜ?と絵本は問いかけます。
その答えは、ひとりひとりがしっかりと考えなくてはいけないこと。
戦争の愚かさ、人がいかに争いに巻き込まれていくか、この絵本は端的に表しています。
きっかけは、本当に大したことがなくて、もしかしたら、最初は冗談だったのかもしれない。
ねずみはただ、カエルをびっくりさせたかっただけかもしれない。
カエルも、ちょっとだけやりかえしてみたかっただけかもしれない。
でも、一度始まってしまった争いは、当事者を超え、大勢を巻き込み、そうするともう誰にもとめられなくなる。
争いに向かうねずみやカエルの顔が不適に微笑んでいるのが、なんともいえず、怖い。
そして、そんな争いの後残ったのは、真っ黒に枯れた花と、ぼろぼろになったねずみの傘だけ。
いったい、何のための争いだったのか。
最初のページに戻って、カエルのほんわかと幸せそうな顔をみて、なんともやるせない気持ちになりました。
息子がもう少し大きくなったら読んであげたいな。