韓国の絵本ということで手にしたのですが、読んでみて驚きました。
私が大学時代に研究していた豊島与志雄の「天下一の馬」と酷似していたからです。
トルセを甚兵衛、牛を馬、トッケビを悪魔に置き換えれば、「天下一の馬」になります。
読みながら、私の頭の中で、「天下一の馬」は韓国の童話だった?それはすごい発見と思ったら、作者紹介と訳者解説でなぞがとけました。
「天下一の馬」の翻案作品だったのですね。
トルセは、けがをしたトッケビの子どもに頼まれて、トッケビの子どもを牛のお腹に入れて休養させてやります。
馬よりも牛の方がお腹が大きくて、小さな子どもぐらいが入りそうではありますね。
お腹の中に入るとことでは日本には「かえるをのんだととさん」がありますし、そこへ悪魔の子を入れるというのは、フランス文学を専攻していた豊島ならではの発想と思われます。
トッケビは韓国では不思議な存在ということで、「うしとトッケビ」は韓国の昔話らしい感じに仕上がっていると思いました。
日本では、豊島与志雄といっても、あまりご存知のない方も多いと思いますが、こんな風に韓国のお話の中で生かされていて、嬉しく思いました。
この絵本を読んだことをきっかけに、豊島の「天下一の馬」に興味を持ってくれる人が増えるといいなと思いました。