原作に忠実だと言われる本作。
これだけ読み継がれてきた名作だし…と深く考えず4歳の娘と読み進めたのですが…。挿絵も暗めだが芸術的で素晴らしいですし、文章もいい。昔話とはこうでなくちゃ!
しかし。
「おおかみしんだ」と踊る場面。
え?そんな喜び方しちゃうの??と、ちょっと残酷というか不謹慎というか…現代人の私は、かすかな不快感や疑問を感じてしまいました。
他の方のレビューにあった、
「悪いことをした人間は死に値することもある」、それも大切な教育だと。
なるほど、そのように考える方も沢山いらっしゃるでしょう。
確かに、当事者の羊たちにとっては、私には想像もつかないような、恐怖、悲しみ、憎しみ、を体験したのでしょう。でも果たしてその価値観を幼い子供に簡単に植え付けてしまってもいいものか?と悩みます。復讐、それが連鎖していけば、そこからは何もポジティブなものは発生しませんよね。
まだ4歳の娘は、この物語を額面通り、文字通りしか受け取ることができません。その裏に隠されたメッセージを読み取る力はまだないでしょう。悪いおおかみが子羊を食べちゃう、そしてそのおおかみが報いとして死ぬ…単にコワイおはなしとしてしか理解していないようです。
「子羊たちがみんな無事で本当に良かったね。でも、おおかみさんも、お腹がすくから何か食べないと死んでしまうしね…。ただ、このおおかみさんは子羊たちをズルいやり方で騙しているし、それは良くないことだよね。」
といった話をしました。
今は変に結論づけせず、さらりと読み流して、もう少し子供が大きくなってから読み直して、一緒に考えたいテーマだと思いました。子供が、子供なりの道徳観や考えを見いだしてくれるといいな。