宮沢賢治の作品ということで読んでみました。
実は途中原稿がなく、いつくかつじつまの合わない箇所もある作品です。
それでも、出版したくなる魅力を備えている作品だと思いました。
博物館員キュステが子どもの頃、蜂雀(ハチドリ)の剥製から聞いたストーリー。
キュステ少年が、動くはずのない蜂雀から、「かあいそうだ」と、
焦らされに焦らされて聞き出したストーリーということで、
ぐいぐいと物語に惹きつけられてしまいます。
ペムペルとネルという兄妹のお話です。
二人で慎ましく暮らしていたのですが、ある日、トマト畑で黄色い実を見つけるのです。
まるで黄金のように大切に眺めていたのに、それが後半、悲しい展開になります。
幻想的な音に誘われて見つけたサーカスと、そこでの出来事。
宮沢賢治の童話らしい、言葉の運びの美しさを感じます。
降矢さんも、そのイメージに沿って寄り添った絵を添えて下さり、
嬉しかったです。
小学生以上くらいからでしょうか。
大人もじっくり味わってほしいです。