『くまの木』『ゆきだるまのクリスマス』との三冊セット『ちいさなクリスマスのほん』として託された絵本です。サンタクロースが登場することから、この三冊では唯一正統な「クリスマスの絵本」といえます。
本格的な読み聞かせ時代に入る以前の段階では『ゆきだるまのクリスマス』に次いで娘の反応が悪かった絵本ですが、「ゆきだるま」なるものを知った二歳二ヶ月現在、この絵本だけが最後まで集中して聞いていられないぐらいに肩身の狭い存在になってしまっています。
絵の方は佐々木さん独特の優しいタッチで、色遣いも鮮やかなものであることから、子供の興味を引きつけるのに十分な魅力を備えています。ストーリーは若干長めな感じですが、上記三冊の中では最も意外性のあるもので、その点でも絵本としての質でいえば三冊中最上位のものかと思われます。ただ、こうしたこちらの評価が、必ずしも子供の側の関心と一致しないところが絵本選びの難しいところでもあり、現在わが家もそのギャップに直面しているところです。
恐らく、この中に登場するサンタクロースも宇宙人もまだ理解できていないからではないかと思いますが、これらを理解できるようになったときの娘の反応が楽しみです。サンタクロースをわくわくしながら待っていられる年齢のお子さま向けに、一風変わったクリスマスの絵本をお探しの場合に候補に上げられる一冊ではないでしょうか。