2008年発行。ポーランドの歴史、自然、小学生の暮らし、村対抗消防運動会、朝市や日曜礼拝。ポーランドに縁のある有名人なども紹介する写真絵本。
ポーランドといえば、映画を何本か見たことがあるだけで、あまりいい印象がなかった。取材に行った筆者も、1990年ごろに書かれた本を数冊読んで、社会主義時代の物資の欠乏や、物価の上昇、社会の混乱などの暗い話題ばかりだったので、実際の人々の生活を見聞きしてずいぶんビックリした様子が伝わってくる。
小学校の学習風景や、高校生がアルバイトする様子(自分できのこを摂って来て、朝市で売る!)、日曜礼拝に正装して参加する様子など、微笑ましい情景が印象的だった。
小さな村の、村人全員が親戚のようなところで、仲良く学校を卒業していく様子や、村対抗の消防技術を競う運動会(男女別)など、独特の行事もあり、面白い。村の消防団に子どもたちも参加して、いざという時には協力して困難を乗り越えるための訓練だという。
地域の行事に積極的に参加していて、案外、楽しそうなのが印象に残った。
ポーランドは1度、地図から消えた歴史がある。度重なる戦争の結果、国家がなくなり、ポーランド語を使うことも禁止された時期も。
ユダヤ人を受け入れていたため、第2次世界大戦中はユダヤ人たちが「絶滅収容所」で大量虐殺された。
ソ連の支配や、ストライキなど、いろんな困難を乗り越えているのに、人々には暗さがない。
浮き沈みの激しい歴史を知ると、人々が普段の生活を大切に生きている様子が尊く感じる。
何故か日本に好意的らしく、古武道(騎士道に通じるものがあるとか)や空手などが人気とか。日本でもショパンやキュリー婦人など有名なポーランド人もある。もっといろいろ知りたくなった。
このシリーズは、大人も充分読み応えがあり、感心する。