私には自信がありません。
もし、この物語の主人公オーガスト・プルマンのような男の子がそばにいたら話せるなんて。
オーガストは普通の男の子です。ただし、それは「顔以外」と注釈がつきます。
オーガストは、目がふつうあるはずのところから3センチも下についています。眉毛もまつげもない。耳は穴があいているだけ。鼻はぼってり肉がついて、そこから口にかけては「とろけた蝋」のようだ。
オーガストは生まれた時はもっとひどい状態だった。何度も整形手術を受けてきた。正式には「下顎顔面異骨症」というらしい。
想像してみてよ、もしそんなオーガストが自分たちの学校に入学してきたらということを。
この本を読んだあとでも、ひどいことだとわかっているが、私には自信が持てない。
オーガストは10歳の男の子。それまでは家でママが勉強を教えていたのだが、今度普通の学校に行くことになった。オーガストは最初すごく嫌がった。もっと小さい頃はずっと宇宙飛行士のヘルメットをかぶっていたぐらいだから。
それでも彼は学校に行く決心をした。感じの悪い同級生がいることを承知の上で。何故なら、そうではない同級生もいたから。でも、ハロウィーンの夜、信じていた同級生からも嫌な言葉を聞いてしまうオーガスト。
それでもオーガストには彼を愛してくれる人がいた。パパ、ママ、姉のヴィア。家族ならわかる。オーガストが何か悪いことをしたわけではないということを。だから、彼らは信じている。オーガストが学校になじむことを。友だちがたくさんできることを。
ただ、姉のヴィアだけは少し複雑。オーガストの存在を知られることで彼女もまた周りの冷ややかな目にさらせれてきたのだから。
想像してみて下さい。オーガストのような男の子が自分の弟だったらって。
そう、この物語を読むには、たくさんの想像が必要です。
もし、・・・。もし、・・・。そこにはいつもオーガストがいるはずです。
オーガストにたくさんの友達ができるかどうかは物語を最後まで読むとわかります。
それでも、正直に書けば、私にはまだ自信がありません。