出版されたころからこの作品に目をつけていました。
(今これを書いている3か月ほど前に出版されています。やっと読みました〜!)
想像通り、いえいえそれ以上に良かったです。さすが鈴木まもるさんです。
鈴木さんの鳥関係の絵には定評がありますが、カメだって、見ようによっては海の中の鳥みたいな生き物です。
描き方に“愛”を感じました。
この作品は物語的ではなく、むしろ科学絵本の要素が大きいです。
夏になるとよくテレビでも取り上げられているウミガメの産卵シーンから始まり、その時々に襲ってくる危険を潜り抜けた子ガメたちが黒潮にのって、遠いアメリカ大陸の海岸の方へ移動して暮らし、また産卵期に日本を含むアジアの方へ戻ってくるのだよ〜という内容でした。
(この絵本では〈カルフォルニア〉の海と限定されていますが、そこだけでなく、実際はかなり広範囲に生息しているようです)
絵本の中で、鈴木さんは子ガメたちが海を渡っていく中での危険をいくつも上げていました。
こんな危険もある。こんな事態が起こることもある。という風に。
絵本でこういった生きものの旅を紹介するときって、どちらかというと、あまりそういう危険なことばかり取り上げないものだと思っていたので、
気になってちょっと調べてみたら、
この絵本のモデルと思われる「アオウミガメ」は今絶滅危惧種になっていました。
絶滅の原因はいろいろありますが、一番の原因は人間が海岸の埋め立てをしてしまって、安全に産卵出来る場所が減ってしまったことと、ウミガメの卵やウミガメそのものを密漁する人間がいることが大きいようです。
(絵本はあくまでも成長記録として描かれててで、絶滅危惧種であることについては触れていませんでした)
1人でも多くの子どもたちにこの絵本に触れてもらいたいなと思います。
そして、こういったものに出会ったことで、これから未来(さき)の地球で暮らす生き物のことを考えられる大人になってくれたらいいなと、思わずにはいられません。
多少細かい部分もありますが、鈴木さんの絵なので、ほとんどのページが遠目もききます。ぜひ読み聞かせやブックトークなどで子どもたちに紹介していきたいです。