平成時代の東京の核家族をモデルに、日本の庶民の食事を、他の国の食習慣との違いも交えて紹介した絵本。日常の朝食・昼食・夕食、子どもたちの給食、季節の行事食、各地の特産品など。
都市部で平均より良い方の暮らしをしている家庭を想定しているだけあり、台所や食材、生活が全般的に裕福そう。いろんな国の人たちが料理や食べ方などを見て、感想を自由に言って要る様子が妙だ。ほとんど「余計なお世話」的なコメントだけど、自分の慣れ親しんだ生活ではないやりかたに触れると、誰でもそうなりがちだ。
季節ごとに違いが食事に現れる様子を、田んぼのある場所でピクニックをする親子の様子で現している絵が、「現代の東京の一家」とはかけ離れた、昭和初期の田舎の一家のような様子で違和感満載。レジャーで訪れた観光農園や、祖父母の田舎(母は青森出身の設定)、体験学習での米作りをしているなどの設定ではないと、時代設定にずれがある。東京、といっても、広いから田んぼや畑のある地域かもしれないが、妙にそのこだけ「古きよき日本」の幻影を追いかけているようで、空しい。
実際は、スーパーや商業施設で無理に作りこんだ「季節感」商品が氾濫し、季節の伝統行事などどんどん廃れて外国から来たハロウィンなどで大騒ぎしているのが日本の現状。
おそらく、製作者たちの昔の良い思いでや、個人的な希望などが反映されているのだろうとおもう。日本、と一口にいっても、いろんな食事風景があると思ったが、他の国も同様だろうと改めて思った。