「ななえさんと こうじさんは なかのよい ふうふです。ふたりは めがみえません。」
「どうして目が見えないの?」と聞く娘に、まず、目の見えない人について、いろいろと話をしました。・・・自分なりに、できるだけ丁寧に、時間をかけて。
次は、盲導犬について。
「もうどうけんは、めのみえないひとの めの かわりをする いぬです。」
うちにも、盲導犬のベルナと同じくらい大きな犬がいます。娘は、生まれたときから、犬といっしょに、まるできょうだいのようにして育ちました。なので、犬がどれほど賢く、犬との暮らしがどんなに楽しいかということも、そして、犬が大事な家族の一員になれることも知っています。
でも、世間では、まだまだ盲導犬に対する理解も低いのですね。特に、ななえさんがベルナとの生活を始めた頃の日本では・・・。この絵本に書かれている以上に、つらいこと、大変なことがいっぱいあったことと思います。それでも、ななえさんは、ベルナと共に、1つ1つのステップをクリアしながら、幸せの階段を上っていきました。
「ベルナといると、うれしくなることが たくさんあります。ななえさんは、あるくことが だいすきになりました。」
ななえさんとベルナの後姿。その前に広がる明るい夕焼けの色が、本当にななえさんとベルナの心の色を表しているようで、私も娘も温かい気持ちに包まれました。
ななえさんがベルナと歯医者さんに行った日、小さな女の子がベルナを見て涙が止まり、帰り際、一生懸命手を振る姿に、ななえさんもベルナも嬉しくて、何度も振り向き、手を振り続ける場面で、娘も、ベルナにお礼を言うように、絵本に向かって大きく手を振っていました。ななえさんが、犬への恐怖心を克服するまでの葛藤、ベルナと訓練を受ける間の失敗、「二人三脚」で社会に出てからの苦労・・・それをぜんぶ自分の心の中に感じながら読んでいた娘は、人に受け入れられ、人の役に立つ喜びを、ベルナといっしょに味わえたんじゃないかなあ、と思います。
うちの犬は、やんちゃで、ハイパーで、どうがんばっても盲導犬にはなれないタイプですが、娘にとってはかけがえのない存在。この絵本は、単に盲導犬への理解だけでなく、犬と人間の心のつながりを深めてくれるように思いました。