グリム童話は随分読んだはずなのに、この話は全く知りませんでした。
世界が作られたとき、夜の光がたらなくなって漆黒の闇の夜を過ごすことを余儀なくされた国の若者4人が、旅に出ます。すると別の国では、月を市長さんが買って樫の木にぶらさげてくれたおかげで、明るい月夜を堪能していたのです。・・・・・・・買った?木にぶらさげた?なんという設定!さらに、その月を若者たちは盗んでしまうんです。「ここの人は別なのを買えばいいさ」なんて言っちゃって・・
おかげでというかなんというか、若者たちの国は、月の恩恵に預かるのですが、4人は年老いて死ぬときに、4分の1ずつお墓に持っていくんですよ・・・・・
もう、絶句の連続。でも、おもしろい。月は最終的にはどうなるかは読んでからのお楽しみに。秋の夜に張り付いたまばゆい丸を見ていると、どんな設定も許せる気がしてきます。
グリム童話の絵というと、昔、実業之日本社の全集で親しんだ挿絵以外に考えられなかったのですが、建石修志さんのシュールな絵も私好みで、グリムの新しい世界を切り開いてくれました。