絵本『11ぴきのねこ』シリーズは、作者馬場のぼるさんの代表作でもあるし、
絵本の世界でも長く愛されてきた名作でもある。
馬場のぼるさんは1927年生まれで、
戦後まもなく手塚治虫や福井英一ととも「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれたという。
ただ、児童漫画が次第に過激になっていくのを嫌った馬場さんは
やがて絵本の世界に魅了されていくことになる。
そして、誕生したのが『11ぴきのねこ』シリーズだ。
この『11ぴきのねことぶた』はシリーズ3作めの作品として
1976年に発表された。
いくら人気のシリーズといえ、
そんな昔の絵本をどうして手にしたかというと、
この物語に「台風」がでてくるからだ。
絵本は四季折々の魅力を楽しめる媒体でもあって、
季節に合った物語を楽しめる出版物でもある。
季節は9月。
9月といえば、「台風」。
図書館の司書の方に「台風」が出てくる絵本を訊ねて
出してくれたのが、この絵本だった。
旅の途中で、壊れかけの古い家を見つけた11ぴきのねこたち。
誰も住んでいないのをいいことに、
ここに泊まろうと、みんなできれいに片づけます。
そこにぶたさんがやってきて、おじさんの家を訊ねます。
この古い家がそうだったんですね。
ねこたちは、ここは自分の家といいはります。
ぶたさんは仕方がないので、近くの丘の上に家を建て始めます。
あまりにきれいにできたので、ねこたちは今度はそこが自分たちの家だと言いだして。
ひどいねこたちですが、そこに台風がやってきて…。
身勝手なねこたちですが、
憎めないのは馬場さんの絵だからこそでしょう。