著者は、お笑いコンビ麒麟の田村裕。中学生がホームレス??と興味をそそるタイトル。読んでみればわかりますが、実際にホームレス状態だった期間は、思っていたよりも短いです。
近所の公園で、ダンボールを食べて飢えを凌いだという場面は、お腹が減りすぎていろんな物を食べてみたうちの一つでしかありません。毎日段ボールを食べていたわけではないようです。内容的には、ホームレス時代そのものよりも、その後の極貧生活の方が長く書かれています。
だからといって、貧乏不幸話をおもしろおかしく書いているだけかと思えばそうではなく、そういう事態に至るまでの過程や家族関係、そしてその後、どうやって生き残ってきたかということが素直に書き綴られています。
極貧生活ならではの笑える話もありますが、家族との関係、力になってくれた友人、支えてくれた近所の人たちとの関係、そういう人間関係がこの本の魅力を数倍引き立たせているのではないでしょうか。特に、亡くなっているお母さんとの関係やお母さんを思う気持ちが多く出てきて、田村少年にとって母親の存在はどれほど大きなものだったかが伺い知ることができ、その辺は感情移入してしまいました。
困ったときに誰かが助けてくれるというのは、決して当たり前のことではなく、やはりその人の人柄があってということもあるんでしょうね。我が家はこんなことにならないようにせねば!と思った一冊でした。