ヘレン・ケラーとサリバン先生のお話ですが、広野多珂子さんの絵に惹かれて購入しました。「三重苦」という苦しみ、そして、「生きる」ということの喜びが、小さい子でも心で感じ取れるように、わかりやすい文章と、優しい絵で表現されています。
娘も、何も聞こえない真っ暗な世界で、言葉も知らずに生きているヘレンの苦しみを、なんとかわかろうと懸命に努めているかのように、何度も、何度も繰り返し読みたがりました。
あの有名な「水」のシーンでは、「ものには名前がある」ということをヘレンが初めて理解した瞬間、娘の顔もぱっと明るく輝きました。娘の手のひらに「みず」と書きながら、「どうかわかって。わかって」と必死に伝えようとしたサリバン先生の愛の深さにも心を打たれました。
目を閉じ、両手で耳をふさいでも、「まだ光は見えるよ。ママの声も聞こえるよ」と、驚く娘。本当にどれほどの苦悩の中で、どれだけ努力し続けて、明日を切り開いていったことでしょう。
ラストのページの成人したヘレンと、その傍らにぴったりと寄り添うサリバン先生の姿に、娘も最大限の尊敬のまなざしを送っていました。