この本は、ブラジルのファベーラ(貧民街)に住む、子供達の為に書かれたものです。
作者のウテ・クレーマーさんはドイツで生まれた方で、ブラジルのサンパウロのシュタイナー学校で教えるかたわら、「モンチ・アズール」というファベーラで子供達を教える活動を始めます。その後、シュタイナー学校は退職し、モンチ・アズールの活動に身を動じていくのです。
金色の心を持った男の子が、病気のおばさんに果物を届けるというお使いを拒否してしまいます。そのために、男の子の心には、汚いシミが広がって、金色の輝きが失われてしまいます。そのことに気がついた、男の子は、自分で金色の心を取り戻す方法を考えて努力するのです。それは、おかあさんの大好きなひまわりを咲かせて、お母さんを喜ばせてあげようということでした。クリスマスの日にひまわりはきれいな花を咲かせ、お母さんに抱きしめてもらった男の子は、また金色の心を取り戻すのです。
男の子が自分で考えて行動を起こすこと、大人の力を借りようとしても拒否されてしまう所、でも、中には優しい大人もいること、そうして、最後にはお母さんの愛情で、心のシミがとれること、など、厳しい生活環境で苦労している子供へのメッセージを感じます。でも、これらのメッセージは豊かな生活を送ることができる、日本の子供達にも届けたいと感じました。
世界中には、いろいろな人がいることを、少し大きくなった子供たちに分かってほしいと思います。ぜひ、本文だけでなく、ウテさんの後書きもよんでください。