清水眞砂子さんの講演会で、清水さんの13年ぶりの翻訳児童書とあり、作者がスロボドキンということもあって買い求めた本です。
スロボドキンの本が好きで、見つけるとつい読みたくなります。
ホタル島にやってくる別荘客たちは、滞在中にねこかいたらいいなと思い、ねこをたくさん飼っているピーターサンドさんからねこを借りるのです。
ところが、ピーターサンドさんが骨折したことで思わぬ事態となります。
ある事件なりきっかけなりで、今まで見えなかったことが問題として浮かび上がることがあります。このホタル島に起きたこともそんなことかもしれません。
私が息子に読み聞かせをしていて、最も驚いたことは別荘客たちが「ピーターサンドさん」の名前を「ピーター・サンド」さんであるということを知らなかったということです。
ねこを貸してくれる人=ピーターサンドさんという見方で、ピーターサンドさんが普段何を考えて何を大切にして生きているのか、そんなことには全く関心がなかったことの象徴であるかのように思えました。
それは根本的なことで、私たちが生活の中で見落としている視点があるかもしれないということにもつながるようにも思えるのです。
大人だからこんな深読みをしてしまうのかもしれませんが、息子は息子でピーターサンドさんとねこたちの生活に興味を示して、読み聞かせの後一人でも読んでいました。
分量的には100ページ未満なので長い話ではありません。中学年向けの児童書として良さそうなのですが、学校の朝読書だと、中学年ということで100ページ以上の本を読むようにとか長い話を読むようにという流れもあり、見過ごされてしまったら悲しいなあと思います。
子どもたちの興味や好きなことを身近な大人がよく知っていて適切な時期に本を勧めてやることができたらいいのにと思います。