「トム・マーロウの奇妙な事件簿」シリーズ第2巻です。
1巻ではトム自身の親友が殺されてしまうという悲劇から始まりました。
第2巻の本書では冒頭からいきなり、トムの「本当の父親」というのが登場します。
というのは嘘で……とかいう展開になるかと思っていたら、2巻で名乗り出たトムの父「グリーブス」は本当の父親で、若い頃はやくざのような生き方をしていたものの、流刑地であった新大陸アメリカでまじめに働き、富を得て帰ってきて、息子のトムのことはほんとに大事に思っているということが、物語の後半でわかってきます。
若い時クズな生き方をしていた人って、結局最後は信じていた人を裏切ったりという展開になることが多いものですが、そこはいい意味で作者に裏切られたということですね〜。
(よかったよかった)
また、今回は謎解きの相棒ハーカー博士の過去も見えてきます。
2巻は1巻に比べると、この物語の世界に広がりが見え、街やそこに生きる人々がさらに鮮明にみえてきます。
内容もぐっとドラマチックになって、あっという間に読み終わってしまいました。
タイトルにも出てきている《白い騎士》を含め、
このお話の根底には18世紀からヨーロッパで普通に行われていた黒人差別、黒人の奴隷制について取り上げているようです。
トムの実の父が富を築き上げたその理由も実は……。
色々読み応えたっぷりの作品でした。
小学校高学年から中高生の冒険ミステリが好きな子どもたちに是非読んでもらいたいシリーズです。