「すぐれた絵本は、文字を読まずに絵を見るだけでもストーリーが伝わる。」
と言いますが、この絵本はまさに、その言葉通りです。
子どもの愛らしい描写は言わずもがなですが、“こん”の表情が絶妙!
ドアに尻尾を挟まれて困った顔、『さきゅういりぐち』の看板を前に得意げな顔、
大嫌いなお風呂に入ると聞いて慌てた顔。…それらが、口の開き方だけで
描き分けられているんですよね。ほら、人形って口の開き方や角度によって
笑っているようにも、困っているようにも見えたりするでしょ!
目の表情などぬいぐるみそのものなのに、ちゃんと“こん”が生きている…。
まあるい画面のように描かれている絵も多く、ドラマの回想シーンを連想しました。
「だいじょうぶ だいじょうぶ」という“こん”の口癖、“こん”を作った
おばあちゃんからの、“あき”へのメッセージのようにも聞こえてきます…。