ある日、うさぎのぼうやは遠くへ行きたくなりました。
「ぼく、いえでしようかな」
それを聞いたお母さんうさぎは、
「あらそう」
と流すのではなく、
「それならお母さんは、どこまでも追いかけていく」
と、いろんな言葉で伝えます。
この絵本の中でそれを表しているパターンは7つ。
どれも素敵な文と絵ですが、その中でも特に素敵なのは、ぼうやがことりになったときです。
お母さんは、ぼうやが
「ことりになって飛んで行っちゃうよ」
と言ったとき、
「ことりがとまりたくなる木になるわ」
と応えるのですが、その木が抱っこの形をしているのです。
お母さんがどれだけぼうやのことを愛しているのかが、ひしひしと伝わってきます。
勝手な想像ですが、ぼうやはきっと、
ぼくのことをかわいがってくれているけれど、お母さんは、ぼくが悪い子になっても変わらずかわいがってくれるかしら?
と心配になって、愛を試してみたくなったのでしょう。
その心配を見事に解決したお母さん。
ぼうやは、心の底から安心したと思います。
親子でいっしょに読んだとき、お互いにぎゅうっと抱きしめ合いたくなるような、とても素敵な絵本です。