私たちの国は何百年も続く鎖国の時代を経て、今から150年ほど前にようやく開国をしました。そんな国ですが、たちまち列強の仲間入りを果たし、領土拡大の野望で世界を相手に戦争へと突き進んでいきます。そして、国土を焼かれ、その後敗戦。わずか70数年前です。
その国が今度は経済的大国へと成長していきます。
しかし、国が豊かになることと幸福とはどうも違うようです。もちろん、幸福だという人もいますが、この国では自殺者もまだあとを絶ちません。
例えば、いじめの件数でも、最近は増加しています。もう何年も前からいじめはよくないと言われ続けているにも関わらずです。
もしかしたら、私たちは幸福ということをまちがって学んできたのでしょうか。
この絵本を読んで、そんなことを考えさせられました。
この絵本のもとになっている話は実話です。
2012年にブラジルのリオデジャネイロで行われた国際会議で、南米のウルグアイという国のムヒカ大統領が行ったスピーチがもとになっています。
そのスピーチの中で、ムヒカ大統領は古代の人たちから伝わるこんなことを話しました。
「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっとほしがること」だと。
ここでいう「貧乏」とは物の量の多寡ではありません。まさに心の問題です。
また、大統領はこうも語っています。
「わたしたちは発展するためにこの世に生まれてきたのではありません。この惑星に、幸せになろうと思って生まれてきたのです」。
この絵本は絵本の形態をしていますが、たくさんの人が読んでもらいたい。
そして、本当の幸福とは何だろうかを考えるきっかけになればいいと思います。