東日本大震災で被害に遭ったのは人間だけではありません。ペット達も同様です。
人命救助が最優先なのかもしれません。でも、実はそんな舞台裏でのペット達の事も考えてみる良い機会でした。
表紙の犬がまっすぐに見つめてくるこの瞳に吸い込まれるかのように本を手に取りました。
捨て犬とは違い、被災犬というのは、飼い主に捨てられたのではなく、飼い主が自然の猛威や原発事故のためにや無負えず引き離された犬たちの事を指して言います。
残念ながら殺処分となってしまった犬たちも数多くいたようです。その殺処分を待つ犬たちをぎりぎりのところで保護した大木さんの活動には頭が下がります。
幸と福をはじめとして様々な被災犬たちが保護されたときと、数か月後の写真を比較してあり、やせ細った犬が愛されることを思い出し、生気を取り戻していく姿は涙が出てきました。
飼い主が突然消えて、街から人が消えて・・・さぞかし怖い体験をした犬たちだろう・・
犬の気持ちを考えると心が痛みました。
震災で復興活動を続けておられる方は、もちろんまずは人命救助で動いておられたでしょう。
その中、大木さんのような人物もとても重要だと思います。
犬たちも、人と触れ合う中で、かつての大事にされていた記憶を蘇らせてぺろぺろなめたり、甘えたりと癒されるのでしょう。人間の心をも癒し、なおかつ犬たちも元気になっていたに違いありません。
大切にしなくていいいのちはない。
祝福されないいのちもない。
いのちあるものは幸せになる権利がある。
最後の一文が本を閉じた後もいつまでも余韻として残っています。