野菜を育てるのは、今でも幼稚園や小学校でする定番の活動ですね。私たち親世代が子どもの頃は、教室で魚を飼っていると、夏休み中は誰が持って帰って世話をするかとか、飼育係になると夏休み中もウサギや鶏のいる小屋の掃除やエサやりが当番制だったり、生き物の世話をすることが今以上に身近だった気がします。
夏休み中の当番は特に、家族での楽しい用事と日が重なったり、暑さで疲れていたり、さぼりたくなる誘惑が多いものです。「私の1回分抜けるだけなら大したことない」と思いたい。けれど、一度気になり始めると、相手が生き物だけに、自分がサボったせいで枯れちゃったらどうしよう?病気になっちゃったらどうしよう?と不安は募るばかり。
思い切って世話をしに行った方が早く解決するのですが、一人でもんもんと考えていると時間はどんどん過ぎていきます。そういうとき、この絵本のおじいちゃんのような、押しつけっぽくないさりげない後押しがあるといいですね。なつみちゃんも、あれこれ迷っていた時より、思い切って水やりをしに出かけて、自分の責任を果たした方が、気分もすっきり晴れ晴れすることを実感したと思います。
息子が通っていた幼稚園では、毎年1学期に野菜を選んで鉢で育てて、夏ごろに収穫していました。こどもたちは、登園してほどなくすると水やりをするのが日課で(管理作業員さんもこまめに野菜の様子を見て下さっているので、子どもが水やりを忘れたり、不十分なときはフォローして下さっていたのだと思いますが)夏が近くなると毎日お迎えの時間にうれしそうに自分の鉢の様子を見に行って、収穫できる大きさになっていないか確かめていました。自分で育てて収穫することの体験ってとても大切なのだなと、子どもの様子を見ていて思いました。