アフリカ北部にあるセネガル。首都ダカールから約110キロ下ったところにある村「ジョアル・ファデイユ村」は漁港があり、人々は貝を良く食べ、貝殻を地面にまいたり埋めたりする。地面はどこも貝殻だらけで、その上で人々は仕事をしたり、学校にいったり、子どもを育てたりしている。11歳の女の子と、その家族を中心に、セネガルの村の人々の日常を写真で紹介する絵本。
セネガルというと、自転車レース(パリ・ダカール)や奴隷貿易の負の遺産(ゴレ島)、イスラム教などの印象があったが、この本で紹介されている地域はキリスト教信者も多く、セネガルではちょっと変わった雰囲気かもしれない。地面は貝殻で覆われ、道も校庭もお墓も貝殻の上にある。文字通りゆりかごから墓場まで、島から出なければ貝殻の上で一生を過ごすことになる。人々は手作りの料理や、昔ながらの遊びを楽しんだりして、なかなか豊かに人情味溢れる暮らしをしているようだ。
なかでも、バオバブの木の実を食べている場面が興味深い。サンテグジュペリの「星の王子様」などのイメージと、実際の力強く人々の生活になくてはならない樹木としての姿が重なって面白かった。
子どもたちは多民族国家のため、自分の民族の言語のほかに、公用語のフランス語、高学年になると英語で授業を受けている。自然といろんな文化や言語を受け入れて、うまくやっていく知恵がついているように見えた。結構楽しそうで、一度現地に行ってみたくなった。