モーパーゴらしい動物愛に満ちたお話です。
捨てられて河を流れてきたグレイハウンドの子犬たち。
少年が命がけで助けあげた子犬たちの一匹が、少年に飼われることになるけれど…。
スプリンターとして速さを競う犬だからでしょうか。
「ベストメイト」と名づけられた子犬は盗まれて、飼い主が替わって行きます。
ベッキーと一緒の生活は涙溢れます。
ドッグレースで、アルフィーが立ち止まってしまったときにレースを止めてしまった「ブライトアイズ」。
レース犬として役立たないと見定めた途端に、アルフィーを撃ち殺してしまう男。
ベッキーと「ブライトアイズ」の逃避行。
三人目の飼い主。
老人介護施設閉鎖の反対運動。
一匹の犬の運命と併せて、モーパーゴは様々な社会問題を組み込んでいきます。
文章に勢いがあるので、一気に読み終えてしまいました。
やっと最初の飼い主パトリックに再会したときのシーンが哀しいです。
「ベストメイト」として認知してもらえず、「パディワック」として生きていくのです。
動物の側から見たら飼い主はどのように見えるのだろう?
道をさ迷っている捨て犬はどの様な生き方をしてきたのだろう?
読後の余韻がしみじみとしてしまいました。
さりげなく挿絵を描いているマイケル・フォアマンに再会したのも嬉しかったです。