この絵本につけられた出版社の小さなメッセージカードに、作者の中川ひろたかさんがこんな言葉を綴っている。
「この地球は、様々ないのちを生んだ、いのちの星だ。ぼくたち人間はじめすべての生き物たちは、そのいのちをいただいて生きている。(後略)」と。
そして、この作品が「食育」の絵本だとしている。
ある日おかあさんとスーパーに買い物に行った「ぼく」はお母さんに頼まれた野菜や魚、お肉といった買い物をしながら、それらが海や陸に関係した食材であることを学んでいく。
そういえば黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』でも、黒柳さんが学んだ「トモエ学園」ではお弁当に「海のものと山のもの」をいれることを薦められたとあったが、あれは戦前の随分昔の話だが、考えてみると「食育」の実践であったことがわかる。
この絵本ではお母さんはその日の晩ごはんの「寄せ鍋」を使って子どもに食べ物の大切さを教えている。
最近流行りの市民農園にしても小さな子供のいる若い家族が借り手として多い。
それは野菜作りを通じて「食育」を教えようとする、親の思いだ。
おかあさんはぼくに言う。
「いのちをいただくことで、ひとはいきているのね」と。
その一方で、ぼくの大好きなスナック菓子はあまり食べない方がいいとも話す。
このあたりは、絵本を読むのにきちんと説明が必要だろう。
あいかわらず加藤休ミさんのクレヨン画はとってもおいしそうだ。
野菜やお肉が「いのちのたべもの」だから、よけいにおいしく見えるのだろう。