東日本大震災の後、仮設住宅で暮らす人々の様子を切り取る一作です。
慣れ親しんだ場所を離れ、新しい集落が作られる。
それだけでも肉体的・精神的負担は多くあったことでしょう。
けれど、そこから立ち退いていくことも考えなくてはならない。
何度も何度も親しくなった人たちと別れていかなくてはならない辛さが染み出してきます。
いつ帰れるか分からない、自分の家。
そこにもし帰れたとしても、子供達は一緒ではない。
もう昔と「同じ」には戻れない。
戻れないのは仕方ない、村に子供達が戻るのは心配でしかない。
けれど一方で、昔と同じになれたら・・・と心の何処かで願う哀しさ。
やりきれない気持ちがあふれ出ているのに、それでも生きていかなければならない。
その力強い気持ちもどこかに感じる。
どれだけの時が経とうと、日本全体が忘れてはいけない苦しみなのだと思いました。