退屈していた少女が、破天荒な世界を体験したい!と願ったら、いきなり願いが叶い、ムーミン谷で大冒険する物語。行く先々で妙な出来事に巻き込まれ、恐ろし目にもあうが、どこか楽しんでワクワクしている。
作者も割と冒険好きだったようで、一人で舟をこいで友達に会いに行ったとか、いろいろな伝説を持っているらしい。女の子はおとなしくしていようという風な、その辺の嫌なおばちゃんが子どもに押し付けてくる変な「常識」「お行儀」なんかを蹴っ飛ばして、好きなことをどんどんやっていくような、たくましい女の子が主人公だ。
見た目はいたって普通。美人でもないし、地味な感じ。しかし、その心は冒険心や好奇心に満ち溢れ、勇敢であり、どんな変な出来事があってもずんずん逞しく物語の世界を渡っていく。度胸があり、根性がある子だ。
また、途中から出てくる気球の船長のトゥーティッキ嬢も、勇敢で仕事ができ、行動力があり、カリスマ性もある。女性が活躍し、たくましくて頼りになるのは女性、という信念が感じられる。
北欧は女性が強いのか?いや、昔からどこでも女性は強かったのだと思う。表にでないでも強いし、表に出ても強いのだ。
男が繊細で優しいのも、印象的だった。…とはいえ、妖精の世界なので、そもそも人間のような男女の感覚でもって判断する必要はないのかもしれない。