「すきって いわなきゃ だめ？」 みんなの声

小説家の辻村深月さんと漫画家の今日マチ子さんのコラボ作品ということで、興味を持ちました。
小学生高学年くらいのかわいいピュアなラブストーリーと思って読み進めたら、えっとびっくりしました。完全に油断していたからです。
こういったタイプの絵本は今も少ないと思います。年頃の子たちに読んで欲しいけれど、読み聞かせするのもちょっと違う気がするし……。手渡し方が難しい絵本だなとは思いました。

すきっていわなきゃだめ？

このタイトルが意外と深いと思います。

すきならすきっていえるでしょ？

いえないならすきじゃないんじゃない？

ん〜、難しいですね。

すきが必ず受け入れられるか分からないし、

そのすきが明日あるかもわからない。

すきって簡単なようで難しいですね。

そう思いました。

ずっと、こうくんに片想いをしている女の子の甘酸っぱい恋心を描いたものだと思って読んでいたので、最後に、ぼく、が登場してびっくりしてしまいました。びっくりする、というのは本来違うのでしょうけれど。
中学生くらいの頃に経験したような、ほろ苦いちょっと恥ずかしいような絵本で、読み聞かせより一人で読むのがしっくりくるように思います。

人を好きになることと、伝えること、伝わること、この繊細なスリリングに、悩む「おとめごころ」って、純粋さにとっぷり漬かった若さなのですよね。
それでも、最後に登場した「ぼく」の姿にはドキッとしました。
いろいろなものを抱えて、いろいろな「好き」があることを考えさせられました。

これまでにない展開に驚きましたが、これが普通の、なにもびっくりしない世の中になればいいなと思いました。
好きという気持ちは、大人はもちろん、子どもにもあるもの。
恋の絵本シリーズ、新鮮な企画で、とても興味をひかれます。続刊を楽しみにしています。