宮沢賢治の物語を絵にするとき、どのような絵がマッチするのだろうかと思うのです。
いろいろな画家が描いていて、それぞれの世界を作っているのですが、方緒良さんの絵を見て、『雪わたり』はこれだと思いました。
幻想のような物語は、現実感と遠いイリュージョンの世界です。
方緒さんは、物語を絵の中に溶け込ませず、アウトフォーカスのモノクロの世界に四郎とかん子とキツネを遊ばせています。
昔懐かしい幻燈の世界にぴったりだと思います。
あまり絵本を描いている作家ではないようですが、この物語については、効果的に饒舌に宮沢賢治の物語を描いていると思います。
ただ、これは読み聞かせするより、自分で味わう絵本のような気がしました。