幼稚園が舞台のおはなし。
ゆうくんは園に飾ってあるひな壇のおひなさまに関心がありません。
でも、先生から、紙のおひなさまを小さい俵のお船に乗せて川に流すということを聞きます。
おひなさまは遠くに子どもの病気や怪我を持って行ってくれる、ということで、
ゆうくんは園を休んでいるしいちゃんのことを考えるのです。
ひなまつりの時の男の子の微妙な心理、
なにより、お友だちのことを心から心配している、ゆうくんの気持ちが嬉しいです。
そして、いたずら盛りの男の子たちを優しく諭す、園の先生の対応も見習いたいですね。
日本古来より伝えられている流し雛のことがきちんと描かれ、
子どもたちにもわかりやすいストーリーとなっています。
土田義晴さんの、優しいまなざしを感じさせる淡い絵がとても素敵です。
場面に合った印象的な構図もストーリーに寄り添っています。
男の子にも女の子にも共感できると思います。