モンゴル放牧民の生活は、大自然とともに営まれているのでした。
作者が描く世界は水墨画の幽玄さで物語を包み込んでいました。
少女アローハンに命を助けられた子羊ホンゴルは、まるで兄弟のように生活をともにするのですが、大地と空に浮かぶ雲のように、象徴的でした。
アローハンは大人になり結婚して母になります。
ホンゴルも何びきもの子羊の親になります。
大吹雪という自然の猛威にホンゴルは命を失いますが、その死を受け入れるのも 、自然とともに生きる人たちが乗り越えていかなければならない厳しさなのでしょう。
墨の黒を基調に描かれた絵本で、色調は抑えられているのですが、終盤の青空と雲のえが、とても鮮やかでこの絵本と物語を印象づけていました。