奥付に2001年初版発行とあったので、比較的新しい作品だと思うのですが、初めて読みました。私が子どもの頃読んだ佐藤さとるの本は小山だったり原っぱだったりが出てくるのですが、今回は雑木林が近くにある公園が出てきます。ただ、そこがファンタジーの舞台という訳ではなくて、そこで拾ったどんぐりが、後でサッカーをするというお話なのです。
ゆうこがサッカークラブに入っているというのが、現代っぽいなと思いました。すぐにファンタジーのお話になるわけでなく、前段階として、ともちゃんのおうちで手作りの絵本を見せてもらって羨ましく思ったこと、男の子のサッカー遊びに入れてもらえなかった話があります。
前半はゆうこの現実生活の描写がほとんどで、ファンタジーに
なかなか入らなかったのが、じれったかったのですが、この前半部分の話がなぜ必要だったのかは、物語が進むうちにわかってきました。
ゆうこがうちに帰ると、おかあさんに留守番を頼まれて一人っきりになるというのは、佐藤さとるのファンタジーでよくある設定なので、この辺からファンタジーが始まるのかなとドキドキしてきました。
どんぐりに顔を描いたらドングリが円陣を組んでサッカーをするというのは、一瞬の出来事ですが、とてもワクワクしました。身近な出来事やそばにあるものからお話が生まれるので、お話作りに興味のある子どもには良い教材になる本だと思います。