ゲーテの詩が原作だそうです。
この原作を基にいろんな作品が出ていて、それぞれに持ち味があるようです。
ディズニー映画の『ファンタジア』の映像と音楽が印象的でしたが、私はウンゲラーの『魔術師の弟子』を先に読んでいたので、ついつい比較してしまいました。
柳原良平さんといえばアンクル・トリスの生みの親とのことですが、自分は山口瞳の作品の挿絵が印象に残っています。絵がシンプルでありながら味がある。この絵本では、魔法使いも弟子もごく普通の人間のように描かれていて親近感が持てました。ウンゲラーの絵は登場人物だけでなく、背景にまでアイロニーが満ちあふれていましたから安心して見ていられます。逆に個人的には物足りないのですが。
大石真さんの文も、リズミカルでさっぱりしていて気持ちが良いです。ウンゲラー版では、弟子のかけた魔法が解けるところで話が終わっていて、その後がどうなったのか余韻があるのですが、大石版では、その後の話も書かれています。魔法使いも決して悪い人ではなかったと判ります。というより、絵本の中に意地悪さは出てこないのですが。弟子も反省してめでたしめでたし。
私の好みは別として、低学年に読み聞かせするときには道徳的配慮のある、大石、柳原版をお薦めします。