メソポタミアのギルガメシュ叙事詩シリーズの第2作。
原題は『THE REVENGE OF ISHTAR』、直訳は「イシュタールのリベンジ」、
でも生々しいので「ギルガメシュのたたかい」の訳になったのでしょうか。
前作でギルガメシュ王は、友人に感化されウルクの都を見事に治めています。
そこに起こった悲劇。
かくして怪物フンババを倒すべくの旅が始まります。
ところが女神イシュタールの怒りを買い、親友も奪われ・・・。
よくある冒険物語なのですが、その中に友情や勇気、忍耐、死への恐れなどが盛り込まれ、
重厚な叙事詩の世界が再現されています。
女神の手痛いリベンジを受けますが、誘惑に打ち勝つ態度に感銘を受けました。
後半の死をテーマにした展開が古代の死生観を垣間見るようでした。
叙事詩の再創造の作品ですが、史料に基づいて緻密に描かれているところに、
とても価値があると思います。
楔形文字に刻まれた古代のお話の世界を味わってほしいです。