題名が面白くてたまたま手に取った本でした。おばけが留守番って?と思って読み始めると止まらなくなり、一気に読み終わり、あまりの読後感に息子にも読ませようと図書館から“はりきって”借りて帰ってきました。
佼成出版社のおはなしわくわくシリーズの1つだそうですが、本当に、え? 次はどうなるの? と愉しくてわくわくというより、一種の怖いもの知りたさみたいなわくわく感がある本でした。西川おさむさんの絵と字がこのような幼年童話用の大きな字でなかったら、ショートショートと言ってもおかしくないくらいの質の高い話でした。星新一を思い出すくらいな感じです。
話は、題名通り、おばけのこどもが初めてお留守番をするのですが、なんだか落ち着かず、結局、鏡の中に写る自分を見て、一人じゃないと安堵感を感じたのも束の間、鏡の中の「ぼく」が「ぼくら」になって「やつ」に変わった瞬間の描写が実に見事で、とても読み応えのある話でした。
ちょっと怖いけれど、小学低学年から大人まで「話を楽しむ」のにお薦めな本です。字も大きいので、3年生の息子も10分もかからずに読み終わったそうです。大変お薦めです。是非、読んでみて下さい。
ちなみに本の見開きには、「科学はついに、自分たちのコピーをいくらでも増殖できるまでに発達してしまいました。これを進歩といっていいのかどうか・・・。 人生は一回こっきり、自分という存在は、あとにもさきにもひとりだけ、という思いがあってこそ、日々のいとなみを大切にできるのではなかろうか、とアナログ人間のわたしは考えます。」(本文抜粋)と書いてあり、やはり子供用に書いたわけではないのかな? でも、十分に、いえいえ、むしろこういう類の話を読むデビューとして読んで欲しい本です。