最近グリム童話に興味を持ち、読んでみました。
童話と言えども、結構深い内容です。表面的には、小さいけれど賢いトムの知恵により、兄弟と両親が幸せになる話ですが、背景に中世のヨーロッパの貧しい人々のやるせない日々の暮らしが見えてきます。
貧しくて今日の食べ物にも困るほどの生活をしている夫婦が7人の子供たちを養えないからと森に捨てに行きます。現代なら、だったら生まなきゃいいのに、となりそうですね。また、兄弟が最初にトムの知恵で小石を辿って家に帰り着いたとき、夫婦は以前貸していたお金が戻ってきたとかでご馳走を食べています。子供たちが戻ってほんのひとときだけ幸せが戻りますが、そのお金もすぐに使い果たしてしまう・・・。貧しさ故の愚かさに腹立たしくなります。にもかかわらず、最後に人食い鬼から奪った金銀宝石で「めでたしめでたし」。思わず、そういうお金は・・・!と言いたくなってしまいます。
怖いのは鬼ではなく、人間の愚かしさ、無知蒙昧さのような気がしてなりません。
昔の人はこんな話を語り継ぎながら何を感じたのでしょうか。
この話は初めて読んだのですが、『ヘンゼルとグレーテル』と重なる部分があるのですね。読み比べると面白そうです。