目を惹いたのはこの作品のタイトルと、
緑色のくたびれたスーツを着たMCC(不思議を売る男の名前)の奇妙な表紙絵でした。
一体どんな物語が始まるんだろうと、ワクワクしました。
上の子も、やはりタイトルと表紙絵が一番惹かれたようで「なに、これ?面白そうなお話だね」と首を突っ込みました。
主人公が売る「不思議」というのは実は話術で、そこにあるなんでもないものにまつわる不思議な話をでっち上げ、さも本当にあったように物語って、そのお話の魅力で周囲の人たちを懐柔してしまうのです。
物語はMCCの11のお話と、オープニングとエピローグを入れて13個の章に分かれています。
1つ1つの話は独立していて短編の集まりのような作りなので、疲れたら休みながら読めます。
小学校の高学年くらいからお薦めできますが、本は少し分厚目です。
中でも私が一番気に入ったお話は第9章の「ロールトップ・デスク」でした。
第13章の「答えはひとつ」(オチ)もよかったです。
大体は初めから想像していたオチでしたけど、訳者も後書きで書いているように、確かに「現代のアラビアンナイト」風に描かれている世界だと思いました。
また、表紙絵挿絵担当の佐竹美保さんのイラストは個性的で、この作品にとてもよくあっていました。