絵、文章共に、すばらしい時をくれる絵本でした。
絵本って本当に良いですね。大人が読んでもそう思わせる「力」を持つお話でした。
実際に離島で過ごすマックロスキー一家がモデルなのでしょう。
『サリーのこけももつみ』『うみべのあさ』ときて、この『すばらしいとき』もそこに暮らしていなければ描き出せない立体感があります。サリーにまた会えました。
雲が離島へやってきて雨を降らすシーンから、夏の晴れ間の様子、昼も夜も海辺で過ごす子供たち、嵐の前の静けさのなかで進められる台風への準備、そして嵐、嵐の去った後の静けさ寂しさ、秋の訪れ。
その中で思いっきり遊んでお手伝いもして過ごす子供たちを、父親が語っています。
降るような星空を、なんの障害もない海の上で何気なく見て過ごす夏。家族でやり過ごす嵐の夜。
地球という壮大な自然のなかで不自由なく共存していく。
なにも説教たれる必要はありません、すべては日々の暮らし、遊びのなかで子供たちが自分で学ぶのです。もちろん読者の子供たちも。
これぞ地球の営み、命の授業でしょうね。
こういう本を読むと、猪口才な本では満足できなくなります。
ねむねむで聞いていた娘は、途中で穏やかな寝息をたて始めました。これを理解するには、年齢ではなく、経験が必要でしょうね。