学生時代にサークル(児童文化研究会)で作った大型絵本の原作が、この本でした。私は当初、絵が地味だなあとあまり好印象は持たなかったのですが、実際に完成した大型絵本を子ども達に見せると、喜ぶこと、喜ぶこと。こぶたがずずずーっと泥の中に沈んでしまうところなど食いつくように見ていました。
もう少し大人になってから読み直してみると、まぁこのこぶたはなんて「こどもの姿そのもの」なんでしょう。どろんこが大好きなところとか、その大好きなものを理不尽に取り上げられてしまった時の手の付けられない怒りとか。
こぶたの姿を借りて子どもを描いてしまうところなど、さすがアーノルド・ローベル。押し付けがましくなくて、本当に上手ですね。
我が家の子ども達は全員、沼でとんぼやかえるやかめが次々にこぶたにちょっかいを出すところがお気に入り。テンポが心地よいみたいです。
それにしても、こぶたを見つけたおじさんとおばさんの素晴らしいこと。「もう、どろをそうじなんてしないからね。」なんてなかなか言えないセリフです。私だったら、「だって不衛生でしょ。病気になったらどうするの」なんて言ってしまいそうです。