お母さんが、子どもを寝かしつける時に
ちょっとしたお話を聞かせてあげる
そんなごく普通のシーンから物語が始まります。
冬の公園に子犬が1匹、
周りには誰もいないけれど、
公園のベンチに赤いマフラーが置いてありました。
誰かがきっと忘れてしまったのだろうけど
子犬にはそんなことわからず
「なんだろう?」と興味を持ってじゃれついてみるのです。
すると暖かくて、とてもイイにおい(おかあさんのにおい)がして
幸せな気持ちになりました。
その夜、池にうつったお月様に子犬が話しかけます。
どうしてそんなところにいるの?と。
寒いでしょ?マフラーにくるまると暖かいよ、
一緒にマフラーにくるまろう、と誘って
お月様に近づいていきました。
そこで子犬のお話は終わって、現実(母子の会話)に戻ります。
その後の子犬について気になる子どもに母親は
子犬の優しさが通じてお月様の近くまで連れて行ってもらい
空に輝くお星様になったんだよ、と教えてあげます。
悲しいお話だけど
一人ぼっちの寂しさ、冬の寒さ、そういうものの辛さを
知っていた子犬はきっと
池にうつったお月様も自分と同じように寂しくて、寒いと
思ったんだろうなぁって思います。
水面にうつるお月様はもしかしたら震えて見えたかもしれません。
だからこそ、一緒にいたい、暖めてあげたいと思ったのだろうけど
そのことで結果的に命を落としてしまう。
ハッピーエンドではないけれど、
この子犬のように優しい心をいつまでも持っていたいと思いました。
子犬の目が澄んでいてとてもかわいいのだけど
どこか寂しげなところがとても印象に残りました。