「バルタン星人」は、初代「ウルトラマン」シリーズの第二話に登場し、数多いウルトラ怪獣のなかでも絶大な人気をほこっている宇宙人だ。
「ふおっふおっふおっ」という独特な鳴き声? とセミの顔を模したユニークな頭と体とのバランスのすこぶる悪い巨大なハサミをもった「バルタン星人」の、何が子供たちに受けたのかよくわからないが、私も子供の頃に「「ふおっふおっふおっ」と鳴いたものだ。
「バルタン星人」自身は地球征服をねらったものではなく、地球に移住しようとしただけだが、その人口は20億以上ということで、仕方なく「ウルトラマン」はそれを阻止、戦うことになる。
つまり、「バルタン星人」は極めて多産星人なのだ。そこに目をつけたのか、みやにしたつやさんの「帰ってきたおとうさんはウルトラマン」は、「ウルトラマン」父さんの奮闘だけでなく、「バルタン星人」父さんの切ないおとうさんぶりの、二本立てである。
怪獣と闘い、時にはおちこむ「ウルトラマン」父さんは子供の顔を見たら明日への活力がみなぎるのだが、「バルタン星人」父さんはおちこんで家に帰る途中にお酒を飲んで憂さ晴らし。そんなだらしない「バルタン星人」父さんだが、子供の前では見栄坊だったりする。
「バルタン星人」父さんは、「ウルトラマン」父さんよりももっと人間らしい。きっと作者のみやにしさんは「バルタン星人」が大好きだったのだろう。そう、みやにしさんも「ふおっふおっふおっ」と鳴いたにちがいない。