ページ毎の絵の重なり具合が気になっていたら、基が巻物なのですね。
巻物で見たら話の流れと迫力が倍増されたと思いますが、寸断されてしまった分少し物足りなさが残りました。
大金持ちの金丸が手にしたまんげつという名の弓は、見かけは悪いけれど岩も砕いてしまうほどの素晴らしい弓でした。
その弓によって戦に勝利し大王となった金丸は、弓をより権威ある象徴とするために、彫り物師に手を加えさせます。
そのために弓はもろくなってしまい不幸が訪れるのですが、おごりが過ぎると身を滅ぼすとのたとえでしょうか。
皮肉にも金丸の失落により、国から争いがなくなり平和になったという訓話にもなっています。
住井すゑさんの理念が貫かれたお話と思いますが、田島征彦さんが妙に遠慮しているように感じてしまいました。
『じごくのそうべえ』や『とくべえとおへそ』のような破天荒さで巻物を綴ったら、さぞやすごいだろうと思うのですが、余白部分の広さの中に田島さんがいないように思いました。